けんぼうは留年生

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2016秋ゲムマで買ったゲームの話〜クイン・ラン2.0〜

 12月11日午前10時。身を切るような寒さの中始まったゲームマーケット2016秋。寒さから言っても暦から言っても「秋」と言うにはかなり無理があると誰もが感じていたが、ゲームマスターが秋だと言えばプレイヤーも「秋」と思うもの。そう、確かにあの会場は「秋」だったのだ。

と言うわけでゲムマ、今回も前回に引き続きJ.C.クリエイツの一員として参加してきました。

早速収穫物の紹介……と行きたいところですが、イベント後の疲労困憊をウイルスに付け込まれたのか風邪を引いて寝込んでしまい、買った物を紹介出来る程の吟味はまだ済んでいない状態です。

さて、今日お話するのはそんなゲムマで買ったゲームの中で、病床の私が脳内カーチャンに「何してんの!そんなことしてないで大人しく寝てなさい!」と叱られながらも一人回しをしていた遊星ゲームズさんのクイン・ラン2.0です。


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 概要

実はルールもボードも全て遊星ゲームズさんのサイトに掲載されているので実物が無くても遊ぼうと思えば遊べるオープンソース的仕様です。細かい話はそちらを読んでいただくとしてここではざっくりとした流れだけを説明します。

マップはマス目の入った複数のボードを一直線に並べることで形成されていて、プレイヤー達はその一端からプレイを開始します。移動しながらより多くのボードでより多くの「拠点」と呼ばれるコマを配置した人が勝者となります。

各プレイヤーはそれぞれ能力の異なる「種族」をゲーム開始時に選ぶので非対称なゲームとなります。得点は純粋な拠点の数ではなくボード毎の拠点数の順位によって決まり、拠点コマの数も有限なのでそこに駆け引きが発生します。

感想

私陣取りゲームが好きでもっと言うとボードに駒を置く事が好きなんですね。それでテラミスティカとかバロニィとかするんですけど、やっぱり重かったり難しかったりするんで、もうちょっとお手軽な陣取り的ゲーム無いかなって前々から思ってたんです。そんなもんだからゲムマでこれに出会った時はコンポーネント見ただけで、説明も聞かずに購入してしまいました。

能力の異なる種族毎の非対称ゲーム、両面に印刷された種族ボード、プレイヤー同士で欲しい土地取れる土地がある程度分かれるので陣取りの割にプレイヤー間の衝突が少ない感じ、見た目の印象だけでなく結構テラミスティカ感のあるゲームです。遊星ゲームズさんと言えばあのテラミスティカの考察記事群がありましたから、恐らくあの研究があってこのゲームなのでしょう。そのテラミスティカを思い出しながら並べるとこのゲームは、マップは1つになりコマも2種類にまとめられ、シンプルに美しくまとまっています。

要素別雑感

何度か一人回しをした上での感想です。あくまで一人回しなので正確な評価ではないです。

拠点コマはパスをしないと補充されず、パスをすると女王コマは手元に戻ってきてしまうため、リスタート地点となる村の確保は大事です。大事なんですが、全てのボードを支配出来るわけでもなく時には見捨てるボードもあるので微妙に寄りにくい場所にある村はスルーする選択肢もあると思います。特に上陸地点の村は、ルール上何度でも沿岸からリスポーン出来るので、取らなくても戻ってこれます(そんな時間があるかどうかは分かりませんが)。

風車

拠点コマが1つだけあって使い切りたいという時にわざわざお節介でコマを返してくれる建物。パスによる拠点コマ補充無しに拠点を増やせるのは有難いと言えば有難いんですが、せいぜい1つなので他の建物に比べると正直パッとしません。

他の建物もそうなのですが、この建物は特に種族毎の性能が違い過ぎるので建物だけの評価は難しいですね。行動力がバックされるので「目的地へ向かいつつちょっと寄り道して一コマだけ置いていく」のに丁度いい建物でしょう。

神殿

任意の場所に自分の拠点コマを置けるのは強いと言えます。自分の進路を拓きつつ他人の進路を妨害する、もしくは勝負の着いたはずのボードに追加コマを送りこんで勝負を分からなくすることも可能です。それとこの効果楽園直前の山のマスにも拠点配置出来るんですよね。ゴールはしやすくなるしゴール出来なくても雑に1点貰える、最後の方で一人だけこれ出来ると多分強いです。

置くと勝てる、は言い過ぎかもしれませんが1ターンにいきなり3つ配置出来るのはボード内勢力争いには有利に働きます。他人の進路妨害にもなるんですが、砦有効活用のためにはパスでコマを貯めたくて、パスしてると先を越されてしまう。他人の妨害のために「砦は取るけど追加コマは置かない」と言う選択肢もあるかもしれません、特に相手が騎士/吸血鬼の場合。

楽園

単に先着順でポイントが貰えると言うわけではなく、楽園に置いた拠点コマの数で他のボード同様の点数がもらえるだけと言う仕組みが憎いです。よく出来てると思いました。拠点コマを持たずにゴールした場合ゲームを終わらせるだけで得点には繋がらないわけです。追加で2,3点入れば大きいので前までで特に負け込んでいるので無ければコマを持ってゴールするべきでしょう。「ゴール前のボードまでいち早く到達し後でゆっくり後ろのボードを開拓する」作戦は今のところうまく行ってないです。

種族別雑感

騎士

他の種族はもっと「種族」らしいのにこれと「宣教師」だけ職業名です。私は、「人間」の軍人が「騎士」と俗に呼ばれていると解釈しました。日本人がサムライって呼ばれるのと同じですね(※違います)。

とにかく馬を取ると走り回れて砦を取れば大きく展開出来るのですが、砦をフル活用するために拠点コマ貯めてる間に砦奪われたり邪魔されたりするので中々うまく行きません。難しいです。ベーシックな能力で得意な事がはっきりしていると言う印象。

吸血鬼

パスさせない種族です。パスした時のコマは何と1個しか降ってきません。その代わり村・風車・馬に拠点を設けると拠点コマが増えます。恐らく現地民に化け現地民から略奪しているのでしょう。後吸血鬼なので聖なるものが苦手で、神殿は通り抜けることさえ許されません。

他プレイヤーが寝ている間に各地を回ってコマを集めつつ2位3位を確保しながら後半砦を狙うなどして大きく出る種族でしょうか。コマは1つは手元に置いておきたいので砦の際も全て使い尽くしてしまわぬよう注意すべきです。

エルフ

強い。一人回ししてる時は大体この種族が勝ってました。一人なので僕のプレイスタイルに合ってるだけなのかもしれません。森の民たる彼らは村を開拓する時に森にも拠点が生えます。砦の追加拠点も森に限定される代わりに2箇所配置出来ます。

他の種族が神殿でないと出来ないことを森限定とは言え村でやれてしまうのは強い。神殿ならばそれが1つ増えて尚強い。森の支配者です。

レプラコーン

僕もよく知らなかったんですがアイルランドの伝承に出て来る小人タイプの妖精さんで、夜中に靴とか作ってくれるアレです。行動力が2しか無い代わりに何と行動力を消費せずに拠点を配置出来ます。多分靴作る時も行動力消費してないんでしょう。

歩みは遅いながらも道すがら拠点を設置出来るのは中々楽しいものです。毎ターンの行動力よりパスで貰えるコマの方が多いので、序盤はコマをためてからコマを行動力に変換して一気に突っ走った方が効率が良いです(ただし拠点は早い者勝ちなのでそれも忘れずに)。

エンジニア

テラミスティカにもいたのでうっかりスルーしてしまいましたが、こいつも本来は職業名ですね。テラミスティカではドワーフの亜種みたいな絵で描かれていましたが。建築技術に長けた彼らは村も要塞都市に、神殿さえ砦のように作り変えてしまいます。信仰心がちゃんとあるのかどうか疑問です。

吸血鬼を除けば風車でコマの数が増える唯一の種族です。コマの消費が激しいのでコマの補充は大事にして行きたいところです。勿論両脇のコマを置かない選択も出来るのですが、後から追加することは出来ないので慎重な判断が求められます。砦の効果が上書きされているのも中々困ります。最初の方はコマをため込んで他のプレイヤーの後を追う形でゲームを進めた方が良いかもしれません。

ピクシー

ポケモンではない。これも小人型妖精でイングランド出身。他と比べるとやや小綺麗な印象でしょうか。同じ小人型妖精のレプラコーン同様行動力は2しかありませんが、こちらはパスでコマが5つ増えますティンカーベル的なステッキを振り回しているのかもしれませんね。その代わりレプラコーンと違って建設にも行動力が必要とされるのでやや不自由かもしれませんが、その分任意の森にも建設出来るようになってます。

吸血鬼と真逆ですがとにかくパスして下さい。行動力よりコマの方が多いのでため込んで一気に放出するのが正解です。パスしながらため込んだコマの使い道を考えておきましょう。多少出遅れてもコマを行動力に変換すればすぐ追い付きます。ただ、終盤コマが少なくなってくると爆発力が低下していくので建築は計画的に。

ドワーフ

石工技術に長けた彼らは木を使うより石を掘ったり積んだりする方が好きなようです。神殿や砦の方が低い行動力で建てられる稀有な種族です。また山にトンネルを掘れるのも彼らの特技の1つです。他の種族が山脈を乗り越えるのと同じ時間で、ドワーフはトンネルを掘ってその先へ進んでいます。

山にコマを置くとその先にもコマが置かれるのは勢力拡大と進路確保の両方を一度で行えるとても強いムーブです。しかし、山が無いと始まらないので選ぶ時はマップの中の山の割合に注意して下さい。お得な神殿と砦も積極的に狙って行きたいところですが、これは他のプレイヤーも狙っているのでそうそう思うように取れるわけではありません。どちらにせよコマは少しためてから動いた方が選択肢がありそうです。

セントール

ケンタウロスの英語・仏語読みだそうな。ケンタウロスってKだと思ってたんですけどラテン語にするとCだったんですね。下半身が馬である彼らは移動力に長けていて行動力が4貰える唯一の種族です。

行動力は多いんですがその分建築にかかる行動力も増えているので、ちまちま動いて建ててを繰り返しているとあまり他の種族と変わりませんから、最初はちょっと大きめに進んで先回りをしてから建築するのが良いでしょう。マップに即した有利な種族を取る後手番に対抗して先手番が取る種族、と言ったところでしょうか。

宣教師

さあこれも職業名。騎士は人間、エンジニアはドワーフの亜種、と捉えてきましたが宣教師は何なのか。考えてみると神の言葉を伝える彼らが種族を選ぶものでしょうか。信仰の前に種族の違いなど些細な問題のはずです。恐らく宣教師はこのゲームで唯一の多民族混成部隊なのではないでしょうか。妄想に何行も費やしてしまってすみません。話を能力に戻しましょう。宣教師は村と風車が1行動力になっています。村はどの種族も避けては通れない建物なのでそのコストが安いのは大きいでしょう。それと信仰心に厚く教えを説くと言う聖なる使命を帯びた彼らは神殿の追加で置けるコマの数が2つになります。

村を建て道を作りながら神殿を目指し、神殿の効果を使って後出しジャンケンをしていく、もしくは進路確保といった感じでしょうか。他種族のような爆発力は無さそうなので、小賢しく強かにやっていく種族という印象です。

ジャイアン

重い。各ターン3行動力なのに建設に3行動力かかるので基本移動して腰を落ち着けてから建築。似たようなパラメーター配分に吸血鬼がいますがあちらはパス不要な仕様で、こちらはパスが必要になるので恐るべき鈍足となります。その代わり図体が大きいからか建物マスに拠点を建設するとその後ろにも拠点コマが置けます。後ろなので妨害や進路確保にはあまりなりませんが、建てる度に1つ多いのは純粋に強いと言えます。その代わり馬は開拓出来ません。まあ、ジャイアントが馬に乗れるはずも無いですからね。吸血鬼の神殿と違って通過は出来ます。

建築時に使える拠点コマが偶数個、対してパスで降ってくるコマが3個なので、コマを無駄にしないためにはパスを2回ずつと言ったところでしょうか。まあ砦の一角に置けなかったり、1コマを行動力に変換したりと言った場合もありますが。歩みは遅いので計画的に着実に拠点を増やして行きましょう。

まとめ

以上のような事をつい語りたくなる良いゲームです。欲を言えば各種族の絵が種族ボードに欲しいですね。

さて今回はクイン・ランの話でしたが、他のゲムマで購入したゲームについても追々語って行きたいです。後ゲムマそのものの感想も後日記事にします。とりあえず今日はここまで。